子ども中心主義

2022年04月08日

書類を整理していたら、元世田谷区立桜丘中学校校長 西郷孝彦 さんの学校経営などに関する記事を見つけました。久々に読み返してみましたが、これからの学校経営、学校のあり方など大切なことがいろいろと書かれていました。

私自身、西郷先生に直接お会いし、桜丘中学校へ見学にも行ったりして、西郷先生の教育に対する心構えや生徒たちとのかかわり方などお聴きしたり、子どもたちの様子を目にすることができました。記事にも「子ども中心主義」が学校経営の基本と書かれていましたが、それを実現させている現場を見ることができたのは私自身にとっても大変貴重な経験でした。

桜丘中学校は校則をなくし、ノーチャイム、服装も持ち物も自由、定期テストがないなど自由度がかなり高い学校ですが、このような学校になったのも楽しく学校に来られるよう「子ども一人ひとりのため」に考えた結果です。

『「子どもたち」と大括りに考えるのではなく、一人ひとりを見て、この子には何が必要か、この子の困難を取り除くにはどうしたらよいかと考える。一人の子どもに対して行ったことが有効なら全員に対しても行うというように、個から全体へ広げていく。一人の子どもをしっかりと見る目を養われていなければ、全体を見ることもできない。』この考えに私自身もとても共感し、大切にしています。

また、「失敗恐れずにチャレンジする意識が大切」とも書かれていました。失敗には二種類あり、一つは「何もしなかった」という失敗、もう一つは「何かをした」結果として生まれる失敗です。「何もしなかった」失敗からは何も得ることがありませんが、「何かをした」うえでの失敗からは必ず得るものがあり、「何かをした」うえでの失敗を何度もすべきとも書かれていました。新しい取り組みをするには、「失敗してもいいからやってみよう」というチャレンジ精神が欠かせず、失敗から学ぶことは多くあり、失敗を恐れずにチャレンジするという土台を学校だけでなく、社会に必要だと思います。

さらに、教員は子どもに対してもありのままをさらけ出すべきとも書かれていました。「教師だからこうあるべきでなければならない」と考える必要はなく、教師として尊敬される前に、一人の人間として、一人の大人として、尊敬されたり信頼されたりする存在であること。心がけるべきなのは、教師である前に、人間として自分を磨くこと。西郷先生は先生方に「たくさん失敗しなさい。できたら、子どもたちの前で失敗しなさい」とよく言うそうです。子どもは、教師が失敗する姿を見て、「先生でも失敗していいんだ」「先生でも失敗するのだから、自分は失敗して当たり前だ」と感じ、自己肯定感が高まります。先生という肩書に囚われず、一人の人間として子どもたちと自然体に接することの大切は私自身も日々感じています。

桜丘中学校で大切にしていることに「非認知能力を重視し、感情の表出を尊重すること」があります。生徒が楽しいときは楽しい、悲しいときは悲しいと、気持ちを素直に出せるようにしています。授業がつまらなければ「つまらない」と言っていいし、授業を受けるのが嫌なら教室から出ていっても構わない。子どもらしく自然体であろうとする子どもの感情を大切にしています。授業づくり、学校づくりでも基本となるのは「人」という考え、「人」を育てることを大切にしていることなど西郷先生の考えから学ぶことがたくさんあります。

西郷先生は「誰でも世界を変えられる」と先生、生徒によく言うそうですが、私自身も「世界」を変えていきたいですね!!